『花子とアン』にみる女性と社会運動ー春駒と百蓮の出会いから

今回は今までの内容に関連しつつ、少し番外編的な記事を…。いろいろ報道されている情報からは、いよいよ檀蜜さんが19日放送分からの『花子とアン』に登場する模様です。ドラマ自体は実質フィクションと思って割り切って観ているのですが、史実では彼女が演じる女性にはモデルとなる人物がいて、それが実は私自身の研究とも重なる部分があって興味関心のあるところなのです。

演じる檀蜜さん(エロスとタナトスを併せ持った芸名ですよね、死生学的に考えてもスゴイ名前だなあと感心しています…タレントさんとしてもとても頭のいい独特の個性を持った方だと思いながらいつも拝見しています)は元々日舞の名取で、きものの所作も問題ないはずですし、どのように演じてくれるのか楽しみです。 

壇蜜、朝ドラ『花子とアン』に出演 –

ここで、檀蜜さんの役(娼妓春駒、本名森光子がモデルと考えられる。女優の森光子さんとは同姓同名ですがもちろん別人です)を理解する上での参考文献を、いくつかご紹介します。実はこれらの資料は、博論の出版後、次にまとめる予定の本の参考文献資料として手元にあったものです。

参考文献その1。紀田順一郎の著書『東京の下層社会 』(ちくま学芸文庫) の中に、春駒が登場するエピソードが記載されています。そして春駒と、歌人であり社会・女性運動家として活躍していた百蓮との接点が。当時のアジールな世界の描写が秀逸です。

参考文献その2、その3。春駒がまとめた日記『吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日』と続編『春駒日記 吉原花魁の日々』が、それぞれ朝日文庫から2010年に出ています。実はここにも百蓮との関わりがありますが、これがドラマでどのように描かれるかに注目しています。

前述の紀田の著書にも詳しく描かれている、日本における近代公娼制度の動向が、檀蜜さん登場の回の背景にありますが、女性の職業が制限されていた当時、女工や女給や女郎は、ある意味で同じ問題の表裏のような存在でした。花子の二人の妹かよともも、檀蜜さん演じる女性、そこに皇室にゆかりの出自を持つ百蓮と、ある意味で当時の社会的階層を数段飛ばしで駆け上がったような経験をした花子が、それぞれドラマの中で対比して描かれることになるでしょう。

こう考えると、今週の内容は8月15日のBlog記事に記した宮本百合子の言葉(「婦人作家が日本人民としての自分が紡績工場に働いている娘たちの境遇にどんなにちかいものであるかということを知ったときにこそ、婦人作家はファシズムとはなんであるか…理解するでしょう」)を想起させるところがあります。それぞれの立場を超えて、女性達は連帯と共感を結ぶことが出来るのか。今週は当時の女性の実情を(その差異と相似を含め)多層的に描く週となるのではないかと期待しています。